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東日本大震災へのリハ対応に関する中間報告(4月11日発)(藤本幹雄先生)

日本リハビリテーション医学会HPより許可を得て転載

http://www.jarm.or.jp/ic/ 


 千葉県旭市や周辺地域における

      東日本大震災へのリハ対応に関する中間報告

国保旭中央病院 リハ科 部長

藤本 幹雄

 

旭市(人口7万人)の被害状況は平成23411日現在で、死亡13名・行方不明2名・全壊427棟・半壊335棟・避難所生活者230人となっています。

国保旭中央病院リハ科では、314日より避難所へのリハ調査・介入を開始しました。この時点では避難所生活者700人程度で推移していました。315日に避難所をリハ医が巡回した際には、要介助者のほとんどは市内の施設に緊急入所できましたが、避難所生活者に歩行やトイレ、移乗等に介助を要する避難者が5名残ることになり、さらに活動の減少による機能低下が懸念される避難者が36名いました。それらの避難者に対して保健師がそれなりに活動を保つように助言してくれていましたが、明らかに十分な活動が保たれているケースはありませんでした。その意味ではリハ医が巡回指導する意義は大きいものでした。

介助を要する避難者のうち2人は理学療法等によりADLが明らかに向上しそうな状況に思えたうえに、そのうち1人は下腿義足の調整や断端袋等の物的支援を要していましたので被災していない切断患者からの義援物資として断端袋や歩行補助具を調達しました。

以上の全例に対して家族指導や集団訓練指導等の介入をしたので急場をしのげそうでしたが、1名に対しては理学療法士を315日と317日に派遣し、家族や保健師による機能維持訓練や歩行介助の指導を行いました。

327日に、リハ医が香取・海匝地域および、神栖・鹿島のリハ施設等を巡回し、被害状況や活動状況を確認しました。

佐原中央病院に関してはエレベーターが使用できず水もでないとのことでしたが、人力で患者搬送しながら365日体制のリハが継続できていました。小見川総合病院・東庄病院等、その他の香取・海匝地域の病院もリハ設備等に関してはダメージがないようでした。白十字病院は被害が大きいと聞いていましたが、スタッフにお会いできなかったので詳細を確認できませんでした。しかし、リハ室は被害なく普通に使用しているようでした。渡辺病院は老健への非難が終了し病院に患者が戻るとのことで、なんとか通常のリハ業務に戻れそうでした。小山記念病院はスタッフに会えませんでしたが、問題なく運用できているようでした。

まとめると、佐原中央をはじめとしてインフラの面で大変な不自由を強いられている病院は多いようでしたが、リハのほうはきちんと提供できている様子でした。損傷により緊急に機器を融通しなければならないということもなさそうでした。

325日より避難所における高齢者や障害者等の不活動対策について行政側と協議を開始しました。実際に行うべき介入においては療法士による治療よりも、一般人による日常的な余暇活動であるほうがより実践的であると考えて各方面との調整を行いました。市民のサークルに対するアプローチと行政側のシステム整備を同時に行い、46日より市民のサークルによる定期的な避難所訪問が開始されました。その時点で日中避難所に残って動かないような人は各避難所数名ずつ程度でした。

4/6にリハ医が市民のサークルによる不活動対策ボランティアに同席した際に避難生活者の居室を回診し、一時的に親戚宅等に避難していた要介護者が長期の避難生活に伴い親戚宅等から避難所に入ってくるような動きがあることを把握しました。3日の避難所生活のために歩行困難になってしまった認知症の老人に対して老人保健施設に緊急入所しリハを行うことをコーディネートしました。その後も同様のケースがでてくる可能性がありましたので、保健師が随時に当院リハ医に電話相談し、必要であればリハ医が現場に診察にいくようなシステムにしました。

今後は約2カ月後に仮設住宅への入居が開始されますので、その前後で環境調整や介助指導の問題が生じるのではないかと予測しております。現在、入居希望が締めきられた段階なので、専門職がどの程度の関わりをする必要があるのか、ニーズを調査したいと考えています。現状では、国保旭中央病院や周辺の協力病院のスタッフで十分な介入ができると考えていますが、調査結果により当地域のマンパワーで賄いきれないほどのニーズがあるとなった場合には県の作業療法士会等を通じて他地域の専門職による支援をお願いしなければならない事態もあり得るかと考えています。

仮設住宅の環境介入に関しては入居者がある程度選定されてからしか動けない事情もあり、4月末〜5月からのニーズ把握のための調査開始になってしまうのではないかと懸念しています。

最後に現段階での当科の基本的な方針を記したいと思います。

震災の被災地として多くの困難はありましたが、十分に当地域の人材で対応していくことができそうです。どうしても仮設住宅入居の時期に支援が必要であればお願いすることもあるかもしれませんが、それもさほど甚大な労力を求めるものにはならない見通しです。

むしろ被災してその大変さをよく理解できましたので、我々は岩手・宮城・福島の大変な地域に対して支援する側になるべきだと考えています。複数のスタッフが療法士協会を通じてボランティアに志願していますし、リハ医が直接支援に行ける機会があれば出ていく準備をしています。各士会においても当地域に対する支援に労力をさかれるよりも、まずは岩手・宮城・福島に対して何ができるのかということを優先して考えていただくことを提案します。

 

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