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在宅患者"難民化"の恐れ 実態把握に自治体苦悩 「日本の試練 現場から―被災地医療」
m3.comニュースより
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/04/18/135503/


  大津波は地域医療が崩壊の危機にあった東北地方に追い打ちをかけた。被災地では持病のある高齢者らが日常的な医療や介護を受けられず、症状を悪化させるケースが続出している。徐々に避難所から自宅に戻る被災者が増えるものの、自治体は「在宅患者の状況を把握することが難しい」と困惑。こうした中、地元の医師と在宅医療の専門医が一緒に往診にあたる新たな動きも出始めた。

 ▽山越え

 「被災後数日で、毎日服用していた高血圧の薬がなくなってしまった」。津波で壊滅的な被害が出た岩手県釜石市。半壊した知人宅で避難生活を送る高村幸男(たかむら・ゆきお)さん(70)の表情が曇った。

 診療や医薬品の情報が入らず、かかりつけ医の訪問もない日々。「自分から動くしかない」。重い体を引きずって徒歩で山を越え「赤十字」のマークを探して市内をさまよったことも。「緊急時なので避難所優先は仕方ないが、できれば医師に回ってきてほしい」

 多くの被災地では今、在宅患者へのケアが課題として浮上している。かぜ、うつ、便秘や脱水症状...。早期の治療が必要なのに、かかりつけ医も被災するなどしたため、放置された格好に。巡回診療も避難所や救護所が中心で、在宅診療は後回しになりがちだ。

 釜石市は、最多で約1万人だった避難者が、最近は3千人程度にまで減少。保健師らの戸別訪問で在宅患者の確認を急ぐが、市側は「どこにどういう症状の人がいるか実態をつかみきれない」。釜石医師会災害対策本部の寺田尚弘(てらだ・なおひろ)本部長は「在宅の"医療難民"に気付かない事態は避けたい」と焦りを募らせる。

 ▽ずれ

 宮城県気仙沼市でコーディネーター的な役割を担う市立病院の横山成邦(よこやま・しげくに)医師(41)は、ニーズのずれを強く感じていた。

 他県から応援に駆け付けた医師の多くが、重傷者の治療に向いた高度な技能を持つ救命救急の「専門家」。だが阪神大震災と比べ負傷者が少ない今回の被災地で求められるのは、避難所生活で体調を崩すなどして、内科系の日常的な診療が必要な高齢者らへの医療だ。

 現状に即した対応をしようと横山医師は3月下旬、医師会の派遣で松山市から現地入りした在宅専門医の永井康徳(ながい・やすのり)さん(45)に協力を依頼し「気仙沼在宅支援プロジェクト」を立ち上げた。

 在宅医療を専門とする医師と看護師、保健師ら7人でスタート。沿岸の診療所や役所が被災して患者の記録がないため、保健師が急きょ調査票を作成。市内に残る家庭を個別に訪れ、高齢者らのニーズの聞き取りや療養環境、治療の緊急度の把握に努めた。

 ▽新たなモデルに

 「停電で介護用ベッドが動かず、同じ姿勢のままでいたお年寄りが床擦れを起こしている」「寝たきりで食事も取れず、脱水症状になった」。調査の結果、在宅患者の厳しい現実が次々に浮き彫りに。医師と看護師がペアになり「巡回療養支援隊」と銘打って往診を開始。2週間で在宅患者50人以上を掘り起こした。

 「もともとこの地域は医療過疎になっていた。在宅医療に適した患者へのケアが不足していたのではないか」と永井さん。支援隊には歯科医や栄養士、理学療法士らも加わり、最大約40人まで増えた。「診療所が流失しても、在宅専門なら事務室一つで可能。在宅医療が発達すれば、ヘルパーなど介護関連産業もできるし、地域復興に貢献できる。被災地医療の新たなモデルになる」

 永井さんらは、半年後をめどに地元の医師に患者を引き継ごうと考えている。同じ宮城県内で大きな被害を受けた石巻市でも、気仙沼を参考にした動きが始まった。

| 報道関係資料 | 12:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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